研究課題/領域番号 |
14510369
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研究機関 | 明治大学 |
研究代表者 |
山泉 進 明治大学, 法学部, 教授 (10130840)
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研究分担者 |
荻野 富士夫 小樽商科大学, 商学部, 教授 (30152408)
飯田 泰三 法政大学, 法学部, 教授 (00061218)
重田 園江 明治大学, 政治経済学部, 講師 (60318657)
田中 ひかる 大阪教育大学, 教育学部, 助教授 (00272774)
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キーワード | 大杉栄 / ジークフリート・ナハト / コミンテルン / 李増林 / 総同盟罷工論 |
研究概要 |
本研究課題は、主として大正期における社会主義思想の再検討を目的としている。その際、リベラリズムやアナキズムとの思想的特質の違い、また、1917年以後影響力をもってくるボルシェヴィズムによって明治期の社会主義思想がいかなる変容をうけるのかをテーマとしている。 研究代表者である山泉進は、大杉栄に関する論文を発表した。大杉栄が、日本において最初にコミンテルン(第三インター)と接触した人物であったことはしられているし、大杉自身も『日本脱出記』において、1921年秋上海において開催された「極東社会主義者会議」に参加したことを回想している。山泉論文は、これまで「M」としてしか知られていなかったコミンテルンからの使者が朝鮮仮政府から派遣された李増林であったことを、新たに発見した特高調書により確認し、何故に大杉が日本の社会主義運動を代表して参加することになったのかを実証している。加えて、これまで不正確にしか知られていなかった大杉栄の著書について、初版をもとに、異版や異本にいたるまで調査して目録化した。また、安部磯雄の明治期の著作である『理想の人』『社会主義論』などをまとめて、解説を付して刊行した。 分担者である田中ひかるは、奥宮健之、幸徳秋水らによって、アーノルド・ロラー著作『総同盟罷工論』として訳されてきた原本が、ジークフリート・ナハトという人物のThe Social General Strikeであることをつきとめた。そして、ドイツの社会民主党員でもあったナハトが何ゆえにストライキ論を執筆するにいたったかを考察し、社会民主主義との関係を追及した。
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