研究課題/領域番号 |
14510369
|
研究機関 | 明治大学 |
研究代表者 |
山泉 進 明治大学, 法学部, 教授 (10130840)
|
研究分担者 |
荻野 富士夫 小樽商科大学, 商学部, 教授 (30152408)
飯田 泰三 法政大学, 法学部, 教授 (00061218)
重田 園江 明治大学, 政治経済学部, 助教授 (60318657)
田中 ひかる 大阪教育大学, 教育学部, 助教授 (00272774)
|
キーワード | 幸徳秋水 / 堺利彦 / 平民社 / 植原悦二郎 / ミシェル・フーコー / フライハイト / 景山英子 |
研究概要 |
本研究課題は、日本における「ソーシャル・デモクラシー」思想の検討を目的とするものである。社会民主主義、あるいは民主社会主義と訳されてきた「ソーシャル・デモクラシー」の思想は、政治的民主主義と経済的社会主義を結合させた考え方であり、主としてイギリスやドイツなどの西欧先進諸国において発達してきた。社会主義思想が、ボルシェヴィズムやマルクス・レーニン主義を基準として正当化される傾向にあった日本の思想風土のなかで、いま一度、再検討される必要がある。そもそも、明治期、社会主義研究会や社会主義協会を通して紹介された社会主義思想は、キリスト教社会主義の影響をうけながらも、1901年の社会民主党の結成にみられるように「ソーシャル・デモクラシー」の思想であった。そして、平民社の社会主義もその流れを汲んだ。大逆事件とロシア革命がその流れを変えることになった。 (1)山泉著『平民社の時代』と論文「幸徳秋水と堺利彦」は、日露戦争に反対した平民社を支えたものが何であったかを分析した論考であり、日本の初期社会主義思想の特質を摘出した。 (2)山泉論文「明大政治学の揺籃」は、大正期にデモクラシー論者として活躍した植原悦二郎の学問的原点を、ロンドン・スクール・オブ・エコノミックスに提出した博士論文を対象として分析した論考である。とりわけ、政治学者グラハム・ウォラスの影響を指摘した点がユニークである。 (3)重田著『フーコーの穴』は、ミシェル・フーコーの思想を統計学などとの接点において分析したものであり、視座設定において新しい試みをおこなった。 (4)田中論文は、ドイツ系アナキストの機関紙『フライハイト』に掲載された日本関係の記事を紹介し、これまで知られることのなかった日本の社会主義運動についての情報を指摘している。
|