2002年度の本課題に関わる成果の主要なものは全体の研究計画の中心をなす論文の一つ「清代中期の冒捐冒考問題--『賎』の観念を中心に--」を作成したことである。予定よりやや遅れたが、若干の推敲と資料の補充を経て、来年度初めに投稿する予定である。その他、本課題に関わる今年度の主な活動は以下の如くである。 2002年4月には、米国でAAS年次大会に参加し、日本の研究状況を報告するとともに、米国国会図書館で史料収集を行った。5月には、台湾中央研究院歴史語言研究所の新史学講座に招聘されて「『風俗』与歴史観」及び「後16世紀問題与清朝」と題する講演を行い、前者の成果を中国語で発表した(『新史学』13巻3期)。また故宮博物院その他の文書館で史料収集を行った。8月には、本科学研究費の海外出張費を用いて、北京の中国第一歴史梢案館などで史料収集及び研究交流を行った。台湾や中国で収集したこれらの史料を一部使用して、上記論文「清代中期の冒捐冒考問題」を執筆した。そのほか、本課題に関わる論文として、「皇帝と官僚紳士」(出版済)、「土地を売ること、人を売ること」(三浦徹等編『比較史のアジア』所収予定)などを執筆した。 また、来年度の活動に向けて、中国史全般の身分秩序に関わる論文・史料を収集・整理した。本科学研究費の多くは、その図書費・複写費、及び収集・整理や韓国語論文の翻訳のための謝金に使用した。
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