一国史的・発展段階説的な視点から外れていたために、他分野の研究領域に比べて、甚だしい遅れを取ってきた「国境をまたぐ地域」の比較史的研究をめざす本課題では、個別的関係に偏せず、広い視野に立って、高位の総合化を意図するものである。各研究分担者は、それぞれが得意とするところの「接壌地帯」を分担し、従来から取り組んできた、その具体的な様相の剔出、歴史的展開過程についての分析・研究をさらに深化させた。 これまでの予備調査で、国内外の史料存在状況の把握については、ある程度終えているので、本年度は、主として国内での資料収集・情報収集を行い、また必要な図書を購入した。そのために、東京・青森などの国内各地のデータ・史料収蔵機関での調査収集並びに情報収集を行ない、必要なものはそのマイクロフイルムないし焼き付けコピーを購入した、関係する史料は膨大であるが、購入予定史料は特に研究参加者の具体的テーマに即して随時使用する必要のあるものに絞った。広範な歴史文献の中から、基礎的関係文献の収集を行うことが、本年度の基本目標であったので、収集した史料は、研究参加者それぞれが、既に所有するパソコンに入力することに努め、データの量が多い場合には、入力を外注した。このような方法をとりながら、本年度は、各研究参加者の、徹底的な史料の読解によって、第一段の成果を出した。それを素材として各分担地域の問題点を洗出し、研究参加者の問題点整理を進め、また共通理解の涵養に努めた。
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