1.アッシリアの行政州組織が最も顕著な発展を見せたティグラト・ピレセル3世(在位前745-727年)およびサルゴン2世(在位前722-705年)の治世に由来する王碑文・書簡史料の研究を継続しつつ、これら史料における行政州の建築と管理についてのデータ収集を一通り完了した。(山田、池田) 2.前年度に研究を行った個別研究:Karus on the Frontier of the Neo-Assyrian Empireを学術雑誌(Orient 40[2005])に出版した。(山田) 3.前8世紀後半のシリア海岸地域におけるアッシリア帝国行政において際立った役割を果たした官吏Qurdi-Assure-lamurの一連の書簡を分析し、この人物の活動ならびにアッシリアの海岸地域支配の実態に関する詳細を個別研究として論文にまとめた。論文はI.Eph'al(エルサレム・ヘブル大学教授)献呈論文集に掲載され、近日中にエルサレムから出版される予定である。この研究をとおして、前述の既刊論文で論じられたアッシリア帝国のフロンティアにおける行政的・商業的拠点の建設と管理システムについての認識が、個別の事例研究によってさらに深められた。(山田) 4.最終年にあたり山田と池田が複数回の会合を持ち、最終的な報告書の形式について検討を重ね、これまでの研究成果を5つの個別研究からなる報告書としてまとめるという構想を決定し、現在報告書を作成中である。 5.山田が3月(21〜29日)にイスラエルに渡航し、アッシリアの西方支配に関する研究の仕上げのための資料調査をエルサレム・ヘブル大学ならびにテル・アビブ大学で行い、同時にこの分野の権威であるN.Na'aman教授と会談し、研究報告書に関するレヴューを受ける予定である。
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