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2003 年度 実績報告書

フランス学士院・道徳政治科学アカデミーの懸賞論文とその著者の研究

研究課題

研究課題/領域番号 14510405
研究機関名古屋工業大学

研究代表者

高木 勇夫  名古屋工業大学, 工学研究科, 教授 (20179419)

キーワード学士院 / アカデミー / 道徳政治科学 / 自由主義 / 社会立法 / 社会調査 / 監獄論争 / 学士院会員名簿
研究概要

フランス学士院は革命期に共和政国家の研究と教育の最高機関として創設されて以来、200年の伝統をいまにつたえている。その伝統とは、アカデミー・フランセーズが代表してきた言語と文明の純化という課題に応えることなのだが、いまひとつの目標として、自由と秩序を維持するという難題がある。ルネサンス以来の人文学を、真に科学の名に値する人間社会科学に再編し、あわせて社会の漸進的な発展を保証しようとしたのである。そうした目標はしばしば保守的な自由主義と位置づけられ、革新をはばむものとして一部の識者からは蔑まれることもあった。しかし産業地帯や農村の社会調査、それにおりからの監獄論争への介入をつうじて、そもそも「社会」という概念を具体化した人たちこそ、この道徳政治科学アカデミーに結集した知識人たちであった。
本研究は革命期の学士院・道徳政治科学部門と7月王政期の道徳政治科学アカデミーを一体の存在ととらえ、両者の哲学的・道徳的な一貫性を軸に、前半の100年の歴史を総括しようとした。冒頭では学士院とアカデミーを並列の存在のように書いたが、革命期にはアカデミーを廃止して学士院をたちあげたのだった。学士院の中核に位置づけられたのが道徳政治科学部門であり、1832年にその流れをくむ人びとを参集して道徳政治科学アカデミーが成立した。平成14年度は研究の下準備として、道徳政治科学アカデミーの「論文集」の索引をつくり、革命期から100年間の会員の交替の模様を跡づけた。またフランスの学士院図書館その他で主要会員の論考や著書を閲覧し、同アカデミーの活動が人間科学と社会科学を総合する立場にあったことを確認した。平成15年度には再度フランスを訪れ、史料的な裏づけをえるとともに、研究交流を深めることができた。
最近、フランス本国においても当該領域への関心が高まり、業績も相次いで発表されるようになった。くわえて、発足200周年を記念して学士院を構成する5アカデミーの会員名簿が編纂されるにいたった。こうした最新の研究動向をうけて、研究代表者である高木も成果を一書にまとめる予定である。まずは今回の科学研究費補助金の研究成果報告書として、「道徳政治科学アカデミー会員リスト」をとりまとめた。その内容は、ほぼ100年前に作成されたフランクヴィル公爵の名による「学士院会員名鑑」を精度において上回るものと自負している。

  • 研究成果

    (2件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (2件)

  • [文献書誌] 高木 勇夫: "カリカチュアの黄金時代〜19世紀フランスの政治と社会"名古屋工業大学紀要. 55. 51-63 (2004)

  • [文献書誌] 高木 勇夫: "<からだ>の文明誌〜フランス身体史講義"叢文社. 234 (2003)

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公開日: 2005-04-18   更新日: 2016-04-21  

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