平成16年度は、前年度に引き続き、関連史料の調査・収集をおこなった。 具体的にはロシア連邦とエストニア共和国で外交儀礼についての資料収集をおこない、現地の研究者と意見を交換した。ペテルブルグのロシア国立海軍文書館では第一回遣日使節団の船長をつとめたロフツォフの日誌を閲覧・複写し、同館で出版される『レザノフ資料集』共同執筆の打ち合わせをおこなった。モスクワにあるロシア国立図書館では第二回使節団に同行したチレジクスのアルバムを閲覧・複写した。エストニア歴史文書館では第二回使節団に同行したルヴェンシュテルンの航海日誌を閲覧・複写した。また、タルトゥ大学の文化記号論研究者と儀礼について意見を交換した。さらに、クルゼンシュテルンの地図帳の中に大黒屋光太夫が書いた地図を見つけることができた。またペテルブルグでは伊勢漂流民が持ってきた伊勢暦を発見することができた。 ウラジオストクの日本センターで開催された日露シンポジウムにおいて「江戸時代における日露相互観-ステレオタイプとその変遷-」と題して報告し、国内外の研究者と知見を交換した。また、郷土史料館、歴史文書館、ロシア科学アカデミー考古学・歴史研究所極東支部で資料を収集した。さらに日本センターでは、日露文化交流についてロシア人の日本研究者および日本文化愛好家と意見を交換した。 日本では、長崎県立長崎図書館、長崎市立博物館で第二回レザノフ遣日使節団関係の資料を調べた。 また、ウラジオストクの極東大学が発行する『東方学院学報』(2005年)に「ロシアにおける日本のイメージ」と題し、成果を発表する予定である。
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