研究課題
基盤研究(C)
本研究では主に、16世紀イングランドの行財政史の問題について扱った。本研究では、15世紀末から17世紀初頭までを「イングランドの長い16世紀(以下、長い16世紀と略記)」の国家財政構造と位置づけた。また同時にこの時期は、「直轄収入国家」から「租税国家」への移行期と捉え、それを実証することを試みた。「長い16世紀」に「直轄収入国家」から「租税国家」への移行の契機は、2度ほどあったと考えられる。1つは16世紀半ばの対スコットランド・フランス戦争に伴う財政危機と財政改革の時期、2つめは17世紀初頭の「大契約論争(the Great Contract)」の時期である。本研究では1つめの契機について主に扱った。16世紀半ばの財政危機に対する財政改革委員会の調査報告書を分析してみると、「租税国家」の成立に向けて議会税の恒常税化を目指すのではなく、国王の旧来の直轄収入を増加させ同時に経費の節減を試みるものであった。つまり「直轄収入国家」の再生が図られることになったのである。このように「長い16世紀」の国家財政運営は、保守的な財政理念を基盤としながら一貫して「直轄収入国家」の体制の維持が図られた。確かに経済的には「租税国家」への移行は、避けられなくなりつつあったが、「課税は戦争などの非常時に限る」という憲政上の課税原則がそれを許さなかったのである。
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すべて 雑誌論文 (16件) 図書 (2件)
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