平成14年度前半に、ジャコバン独裁期におけるロベスピエールの言説の構造とその歴史的機能について分析するとともに、フランス革命の意味を文化的観点から捉えかえそうとした論文(「ロベスピエールとフランス革命-文化現象としてのロベスピエールの言説」『思想』938)を公にした。さらにこの作業をうけて、ロベスピエールの言説がジャコバン独裁期の主にパリの人びとにどう受容されたのか、ロベスピエールの言説と民衆の言説との異同はどこにあるのか、を検討する作業にとりかかった。具体的には、夏期休暇中に1ヶ月あまりフランスに滞在し、すでにパソコンに入力した国立古文書館の手稿史料にかんする内容上の疑問点を再度原史料にあたって解消する一方、パリ警視庁史料館に保管されている膨大な警察史料の調査と蒐集をおこなった。フランスから帰国後は、パリ民衆の言説にかんして蒐集してきた史料を整理・分析する作業を継続しておこなっている。この作業の成果は、できるだけ早い時期に雑誌論文というかたちで発表したいと考えている。
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