研究課題/領域番号 |
14510427
|
研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
山本 悦世 岡山大学, 文学部, 助教授 (60174778)
|
研究分担者 |
横田 美香 岡山大学, 文学部, 助手 (90273953)
岩崎 志保 岡山大学, 文学部, 助手 (30239967)
沖 陽子 岡山大学, 環境理工学部, 教授 (30127550)
|
キーワード | 景観比較 / 生業変化 / 農業形態の変化 / 種子標本 / 種子集成 / 石器集成 / 土壌分析 |
研究概要 |
1.岡山平野部を中心とした縄文時代から弥生時代における景観比較では、地形の復元と遺構の立地状況の比較から、縄文時代後期と弥生時代前期との間に大きな変化を確認し、さらに、弥生時代では前期末〜中期初頭そして後期段階に画期をとらえることができた。 この3段階の画期にはそれぞれに質的な差が指摘される。縄文時代から弥生時代前期の間には、遺構面での変化が特徴的である。そこには集落居住域の変化や生業関連遺構が貯蔵穴から水田へと転換するという展開が確認される。弥生時代では、前期末〜中期初頭には地形面での変化が主に示されるのに対して、弥生時代後期段階では遺構面での展開が特徴である。特に、灌概用の用水路が広範囲に検出される点は重要であり、耕作域の飛躍的な拡大や前期の土壌とは質的に変化した耕作土の存在とともに、農業形態の画期として評価される。 以上から、縄文と弥生時代間の変化には自然環境とは別の要因の存在を、弥生時代の変化には自然環境と関連した開発の進行と農業形態の飛躍に弥生時代的社会への脱皮を窺うことができた。 2.プラントオパールの分析からは、弥生時代前期水田における生産性が極めて低いことが浮き彫りとなり、その後に進む農法の変化を裏付けることとなった。花粉分析では、弥生時代中期に植生変化を認める結果を得ることができた。こうした資料は、中期を境に進展する耕地開発や遺跡の拡大という動向の傍証となろう。 3.出土種子の標本化では、岡山県から山陰・四国の資料を蓄積することができ、当初の目的であった標本化と資料集成を掲載した印刷物を刊行した。出土種子から様々な情報を得る上で、有効な手引きをなろう。ただし、まだ十分とは言い難く、今後も資料の充実を図っていきたい。 4.石器を基にした農具関連の集成も岡山県と山陰・四国の資料を蓄積した。
|