研究課題
基盤研究(C)
本研究では、朝鮮半島南部の無文土器時代から原三国時代の集落構造を、階層分化の視点から検討して、次のような結果を得た。1.無文土器時代前期の低地の拠点集落では、竪穴住居だけでなく、掘立柱建物もかなり存在したと見られる。ただしその構造は、中央の大きな広場に全員のための大型建物を設けて全体を統轄する求心的な構造であり、集落内の単位集団の格差はほとんどなかった。2.無文土器時代中期にもそうした求心的な構造は継続した。しかし一方で、無文土器時代中期は国の形成時期でもある。集落の中の単位集団相互の境界に溝を掘るなど、単位集団の自立化も進み、なかには大型建物の管理権を握りはじめた集団もあった。そして一部の拠点集落では、内環溝と外環溝という二重構造や、首長層のための区画が形成された可能性も出てきた。3.無文土器時代後期では、拠点集薄の様相はまだ不明だが、丘陵上の高地性祭祀環溝集落の存在が浮上した。その出現は無文土器時代中期に遡るが、後期に盛行する。ただし、この時期には、石鏃を多数製作・保有して、軍事的色彩の強い高地性集落もある。4.原三国時代の後期には、拠点集落の内部に首長層のための方形環溝が確実に存在した。この方形環溝の中には、掘立柱建物や広場など、集落の重要な施設が取り込まれていく。そして、推定される鋳造鉄斧の生産体制から見ても、こうした方形環溝は原三国時代前期まで遡ると考えられた。
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