研究課題
・鉄鏡の出土地名表作成のために、平成15年度は中国大陸の南部以外から出土した資料を対象に、文献検索を中心にして資料化を行った。華中の資料は三国以前のものを中心としており、西晋が東遷した以降の資料は少ない。一方、東北地域には南北朝相当次期の鉄鏡が存在し、南朝との交渉で入手している可能性が高いと判断するに至った。・浙江省の南京博物院で、南朝にかかわる数面の調査を行い、出土遺跡の踏査を行った。また、河南省の研究者と交渉を持ち、16年度に洛陽文物隊が所蔵する鉄鏡の悉皆調査を行うための交渉を行った。中国関連の調査は年度初めのSARSの影響もあり、調整が遅れたために資料調査は充分に行うことができなかった。・国内では2機関が所蔵する鉄鏡計4面の調査を行った。鉄鏡が鍛造品なのか鋳造品なのかについては、両者ある印象を深めている。関西大学が所蔵する百舌鳥大塚山古墳出土品は中国南朝の鉄鏡と類似点が多く、「倭の五王」の段階に南朝との交渉において鉄鏡が流入している可能性が高いと判断するに至った。・・芦屋釜の里の協力を得て、鉄鏡の鋳造を行った。砂型を用いた鋳造手法で、鉄素材は和銑である。炭素量が低いために破損しやすく、4面鋳造したうち完形に鋳造できたのは一面のみである。色調は白銀色に仕上がり、映像効果が高い素材であることを確認した。研磨や象嵌についての実験は平成16年度に実施する予定である。
すべて その他
すべて 文献書誌 (6件)