考古学的な遺跡に関する最も詳しい情報は発掘調査で得られるが、発掘調査は一過性であり当事者以外がアクセスできる最良の情報源は発掘調査報告書である。しかし、その記載は情報の交換に適した状態にはなっていない。本研究では、全文テキストとしての発掘調査報告書の本文に対して分析を行い、その記述特性から、どのようなタグ付けを行えば人間とコンピュータの相互にとってより良い資料となるかを検討した。タグ付けにはいろいろな水準があり、簡単なタグ付けとともにより高度なタグ付けについても試行した。 また、データベース化された資料についても、項目建てや記載方法の工夫によって、汎用性が増し、利用者相互の情報交換が容易になる。そこで、発掘調査報告書のデータベースである、発掘調査報告書抄録データベースの構造を検討し、改良を促した。また、抄録からの情報などをもとに作成される、遺跡データベースについても、項目の再検討や記載方法の改良に寄与した。 インターネット上での情報交換の標準化に強い影響力を持っている、ダブリンコアやCRMなどについて、遺跡情報への適用実現可能性についても検討した。それらが要求している記載項目は必ずしも遺跡にそのまま当てはめられるものではないが、既存の遺跡データベースの項目とのマッピングは可能であり、項目内の情報記述をより洗練することで、他システムとの相互の検索運用性が高まることが期待される段階にいたっている。
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