研究概要 |
1.東北地方では会津若松城の瓦を編年し,黒瓦から赤瓦への変遷の過程を追い,松島瑞厳寺では,慶長十四年頃の軒瓦を確定し,慶安三年(1650)銘の太田市兵衛の瓦の製作技法を追った。 2.中国・四国地方では,徳島市丈六寺の天文24年銘の「天王寺」の瓦大工の製品を検討し,岡山篠葺城の天正5年銘の「播州」の瓦大工の製品を検討。岩国城・広島城・岡山城・姫路城の瓦については,九州と岩国城,広島城と岡山城,岡山城・姫路城と大坂城との瓦の同笵関係,広島城と大坂産の瓦についての同笵関係などの追求をおこなった。 3.伏見城及び方広寺の瓦を検討し,従来コビキB(鉄線切り)最古の例とされてきた厳島神社千畳閣の瓦が,慶長年間に降るという見通しをえた。 4.九州においては,肥前名護屋城造営時に瓦を運び込んだ筑前名島城・鷹取城・熊本城の同笵瓦について検討をおこなった。この点についての第1の成果は,名護屋城本丸の瓦は,二の丸出土などと比較してきわめて丹念な作りが判明したこと,第2の成果は宇土城の瓦は堺の瓦にきわめて酷似しており,堺の商人であった小西行長の物資調達方法が推定されることなどがわかったことである。
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