昨年度から引き続きの見出し語対照表については、補助者の協力により『狂言記正篇』と『狂言記外五十番』の2種との間の対照表が完成した。これをもとに分類の候補となる語について残る2種の狂言記の索引と対照して絞り込んでいる。その際に『祝本狂言集』にもある語かどうかについてのチェックも同時に進めている。これらの語を手がかりに、実際に二百の曲を分類するのが次年度の課題である。 こうした作業の経過報告として「祝本狂言集について(二)」という論文を、研究室の雑誌である『筑波日本語研究』8号に発表した。同時期の成立と推定できる版本狂言記四種とはまた用語のうえで異なる位置に祝本狂言集があることを、具体例から考察した。また、北原保雄監修『日本語使い方考え方辞典』に協力して、30項目ほどの日本語史に関わる項目を執筆した。 再刷されなかったために、現存する版本が少なく、本学図書館にもこれまで所蔵されていなかった『狂言記外五十番』を幸運にも古本屋から購入することができた。これまで調査してきた他の『狂言記外五十番』との刷りの具合など詳細な比較から、外篇についての出版事情を推定する手がかりが増え、また昨年度購入した元禄版『狂言記正篇』と合わせて、本学に版本狂言記四種の全ての版本が揃ったことになる。
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