研究計画に従って、平成15(2003)年度は以下のような調査研究を実施した。まず、8月19日から21日にかけて、沖縄本島国頭村安田方言の音韻調査を実施した。また、9月5日から9月9日にかけて、沖縄県宮古下地町来間方言の音韻・活用・語彙の調査を実施した。これらの調査を通して、ある程度宮古下地町来間方言の音韻体系、用言の活用体系、助詞の用法など、ある程度把握することが出来た。来間方言の主な特徴を示すと、次のようになる。 1)[o]と[u]の中間的な母音[U]が観察される。 [ts〓〓nU](昨日)、[nu〓dU](首)、[fu〓mU](雲)、[fu〓mU](蜘蛛)、[f〓「sU](糞) この[U]が[u]と交替する例もみられる。 [「munu〜「munU](もの)、[ma〓du〜ma〓dU](暇) また[u]と[U]と[o]が交替する例もみられる。 [「au〜「aU〜「ao](青) 2)[u]と[o]の交替例もみられる。 [ts〓〓mu〜ts〓〓mo](肝、心)、[P〓「tu〜P〓「to](人)、[mu〓ku〜mu〓ko](婿) 3)[i]と[e]の交替もしばしばみられる。 [ju〓mi〜ju〓me](夢)、[ka〓mi〜ka〓me](甕)、[fu「ru〓∫〓ki〜fu「ru〓∫〓Ke](風呂敷) 4)[v][m]が単独で拍を構成する。 [〓「dai](肥える)、[〓「da〓〓〓da](厚い)、[a〓〓](網)、[a〓〓](編む) 5)有声子音の半無声化または無声子音の半有声化現象がある。 [「〓u〓dz〓](砂糖きび)、[「gum〓〓u](牛蒡)、[〓〓i〓〓](杖)、[s〓「〓a](舌)
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