研究概要 |
前年度,『雅俗幼学新書』第一巻(110丁)の一次入力を完了したため,本年度は、第二巻(130丁)のデータベース化を中心として行った。その結果,第一巻と第二巻、計240丁に収録された見出し語数は約38,000語となり,各部の収録語数、各部門(14門)の比率などが明らかになった。また,完成した本データベースを用いて,次年度は江戸後期の漢語使用についての一端を考察していきたい。 ただし,入力完了後の課題として、漢字表記の外字使用の有無や仮名遣いの異なりなど、さらなる検索の便を図るために,全体の整合性をとる必要があることを明示しておきたい。 『雅俗幼学新書』の序にもあるように,江戸後期の節用集と収録語は類似している部分がある。ただし,それだけでは決して解決が図れない面がある。そのために,『雅俗幼学新書』を軸として,先行資料からの影響と,後続資料への影響を考えていかねばならない。その一環としての課題である唐話辞書と対訳辞書との比較研究については,日本語学会2004年度春季大会(於:実践女子大学)と,近代語学会2004年第2回研究発表会(於:昭和女子大学)において口頭発表を行った。標題はそれぞれ,「『和英語林集成』「原稿」と『雅俗幼学新書』-漢字表記をめぐって-」,「『和英語林集成』の漢字表記の推移-「原稿」から1版へ-」である。『雅俗幼学新書』と対訳辞書とのかかわり,また,近世中国語の扱いについて報告することができたと考える。この発表をベースに,今まで収集してきた未報告の事項を加え,次年度は具体的な影響関係について考察していく予定である。
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