研究概要 |
本年度は4年間にわたる研究期間の最終年度にあたるため、今までの研究を整理し、かつ新しい問題も深めた。 1,今までの課題の整理 (1)格助詞ノ・ガの分布とその歴史的解釈 (2)原因・理由表現の分布とその歴史的解釈 (3)仮定条件表現の分布とその歴史的解釈 これらを伝播類型の視点から位置づけようとした。 それぞれの伝播模様は一部、解釈の難しい点を除き、ほぼとらえられた。 しかし、これらを類型化することには相当の困難があり、各事象で伝播模様が異なっていることが却って明らかになってきた。その点で、類型化をどういう視点でするか一事象ごとの時代性か、地域性によるものか・・・、なお考える必要がある。この点で、残念ながら「類型化」を性急にすることを避け、しばらくは、各事象ごとの歴史性を丹念に集積する必要があるのではないかと考えるに至った。 とはいえ、上記(1)〜(2)は方言周圏論的な分布模様を基本とすること、(3)も同様であり、かつ区画は日本語アクセント区分に酷似することなど、「類型」を方言周圏論レベルの大まかなものと規定すれば、こうした類型が認められることは言える。今後は、その先の類型化をどう考えるかの課題が残っていることになる。 2,新たに深めた考察事象 昨年からの引き継ぎであるが、今年度は準体助詞の全国分布の問題を、四国・九州・新潟・山形県地方の方言文献の研究について深め、全国的な視野での歴史的解釈を試みた。そのまとめは、適当な機関誌に投稿する予定である。
|