本研究は、平成14年度〜平成16年度の3ヶ年にわたり、海外研究協力者であるEllis Tinios名誉教授(University of Leeds)およびJohn Carpenter教授(University of London)と協力して行った研究である。 この3年間に、イギリス、スイス、アメリカの9博物館(日本4博物館)において調査を行い、学芸員の人々との交流や考証知見の提供を行うことが出来た。また、12点(19枚)の国貞摺物を跡見学園女子大学図書館に備えることが出来た。 2002年には、イギリスNorwichのSainsbury Instituteにおいて、在英国の日本学研究者向けに我々の研究課題に関する発表討論集会を持ち、また2003年には、ワルシャワ大学において開催されたEAJS (European Association for Japanese Studies)の第10回交際会議において研究発表を行ない、我々の研究の意義を公にし、多くの海外研究者との交流を持つことができた。 調査の基礎データに基づき、報告書では、テキストとイメージとの関わり、摺物に典型的に見られる、狂歌グループ、贔屓連、絵師等の共同参加による演劇文化の創出、国貞以外の役者摺物の特色をも分析し、演劇文化の中での摺物の位置を明らかにした。 また、国貞役者絵摺物と摺り物に記された狂歌等をデータ化し、それを付した。 なお、報告書の基礎的作業に基づき、今後も海外や日本の調査を続け、内容をさらに深化充実させたうえで、共同研究者とともに、英語による書籍の出版を計画している。
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