平成15年度は旗人について言及した文学テクスト、研究論文、ならびにその他の関連文献の捜索と収集、ならびにその整理に重点を置いた。資料収集は日本国内のほか、中国でも行った。 1.『盛京時報』影印本を昨年に引き続き購入した。同紙の文芸欄を1918年からまで主催していたのは旗人出身である穆儒丐という人物である。彼が同紙に連載した小説や散文は清朝末期から民国初期にかけての旗人の生活や文化について多くの資料を提供するものである。特に北京西郊の旗営の辛亥革命前後の旗人たちの窮状や彼らを取り巻く社会状況に関する記述は、他の資料と比べて具体的であり、本研究課題に資するところは大きい。 2.上記『盛京時報』に連載された『社会小説梅蘭芳』について論述した「萌芽期における北京の芸能ジャーナリズム-『社会小説梅蘭芳』を手がかりとして-その2」を『国際広報メディア研究科言語文化部紀要』46号に発表した。 3.日本・東京の国会図書館、東洋文庫、東京都立中央図書館、中国・北京の首都図書館などでさまざまな新聞雑誌ならびに文献資料を閲覧し、民国初期の旗人の生活や文化についてさまざまな知見を得ることができた。また、これらの資料を必要に応じてコピー、整理し、分析をおこなった。
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