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本研究は江戸期における詩経研究の実態を明らかにするべくその基礎的な調査として、邦人による詩経関係の著述を総合的に整理分類した「江戸期における詩経関係書目」等の作成と重要文献の解題作成を主たる目的として進められている。本年度はその初年度として上記目録の完成版のたたき台として次のことを行った。
1 次年度に行う実地調査に先立ち、刊行されている蔵書目録等で事前調査を行い、その概観を見るために暫定目録を作成。併せて日本儒学史上で重要な位置を持つ学者の著述や、これまでの諸家の研究でその重要性が指摘されている文献、さらに後世の引用率等で、詳細な調査を要すると思われる文献を抜き出し、事前の調査を行い、実地の現物調査の準備とした。
2 上記の暫定目録の書名、著者名、関連書誌事項、所蔵先(複数あるものは複数)、基づいた目録のデータ、同定作業に必要な注記、解題作成に必要な事項など膨大なデータを順次コンピュータで電子データ化し、次年度の本格実地調査のペースとした。併せ作成する「江戸期における詩経関係和刻本目録」のデータも同時に電子データ化し暫定版を作成した。このうち「詩経関係書目」の書名、著者、版本・写本の別などそのごく一部を暫定版として公表し、諸家の批正を請うている。
3 重要文献について順次、実地調査および解題作成を開始し、電子データ化している。
中国での著作の和刻本を除く邦人の著作だけでも470点を超え、量的にも質的にも予想を遥かに上回る研究が行われていたことがわかった。今後の最終的な目録作成と重要文献の解題作成が完成されれば江戸期における詩経研究史を鳥瞰するものとして重要なデータベースとなることが期待される。
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