研究概要 |
2003年度におこなった研究課題「中国近代文化史研究--中国近代の自己デザイン」に関する研究活動によって得られた知見、業績等は以下の諸点にまとめることができる。 1,国内資料調査--東京大学東洋文化研究所および東洋文庫において、清末期に発行された中国文雑誌の調査をおこない、中国近代文化史関係資料を収集した。とくに、今回は、中国近代における表象文化の成立に関する資料を収集した。 2,海外資料調査--中華人民共和国上海市に赴き、上海図書館近代文献資料室において同上の雑誌・新聞の調査をおこなった。本調査においては、1と同様の中国近代における表象文化の成立に関する資料の調査に加え、体育、速度など近代社会と「身体化」に関する資料の収集に努めた。 今回の調査は、9日間の日程であったため、すべての資料にあたることが不可能であった。次年度もこうした調査を北京、上海において継続する機会をできるだけもちたい。 3,1、2の資料調査をもとにして、論文「大清国「黄龍旗」と20世紀の中国「国旗」」(岡山大学大学院文化科学研究科紀要『文化共生学研究』第2号)を執筆した。これは、「国旗」という西洋世界において成立した公共的表象の受容形態の分析を通して、清末期の中国人が「世界システム」をどのように理解し、みずからのものとしていったのかを考察したものである。
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