研究課題
基盤研究(C)
本研究は、生成文法の極小主義プログラムの理論的枠組みにおいて、英語の時制解釈、法助動詞と数量子表現の作用域解釈、付加詞表現解釈等々の現象を具体的題材として、統語的派生サイクルと意味解釈規則適用の関係を考察した。実証的成果としては、次の3点が上げられる。(1)時制解釈を統語派生と同時進行的に行うモデルを構築した。このモデルでは、特定の範疇を解釈規則適用のための循環(サイクル)と指定する必要はない。(2)時制の一致現象を適切に説明する仕組みとして、時制表示調整規則を提案した。また、この調整規則が適用される時点で、統語構造の情報が存在している必要があることが明らかとなった。(3)法助動詞と条件のif節に係わる代名詞束縛現象を分析し、ある種のif節はCPの外側に生起する抽象的法演算子の制限要素となることを明らかにした。また、代名詞解釈が行われる時点で、統語構造の情報が存在している必要があることが明らかとなった。以上の知見から、理論的成果として、意味解釈モデルを分散意味論(distributed semantics)として発展させる構想を得た。新モデルでは、(1)統語的派生の過程で解釈不可能素性の照合・削除が完了し解釈可能素性のみとなった部分は、統語対象(Syntactic Object)であると同時に、意味対象(semantic object)と考える。派生が完了した時点で、統語対象全体が自動的に意味対象となる。(2)意味解釈部門の規則は、適用可能な時点で当該の意味対象に対して分散的に随時適用されると考えることができる。(3)特定の範疇をサイクル(フェイズ)と規定する必要はない。したがって、この点に関する限り、Chomskyのサイクルに対するアプローチよりも、Epstein and Seely(2002)等のアプローチの妥当性が高いことが結論づけられる。
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東北大学文学研究科研究年報 54
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The Annual Reports of Graduate School of Arts and Letters, Tohoku University Vol.54
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LP2000 Proceedings On-Line(http://www.adn.nu/〜ad31175/lp20002/lp2002main.htm)(Charles University Press.) (To be published)