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2003 年度 実績報告書

『アムブローズ館夜話』研究

研究課題

研究課題/領域番号 14510506
研究機関東京大学

研究代表者

高橋 和久  東京大学, 大学院・人文社会系研究科, 教授 (10108102)

キーワード啓蒙主義 / 光学 / 幻覚 / 超自然
研究概要

3年計画の2年目に当たる本年度の研究は、啓蒙主義以降の合理主義とスコットランドの伝統的な価値観の交錯する場としての「光学的表象」に的を絞って、『アムブローズ館夜話』及びそれを連載されていた当時の『ブラックウッズ・マガジン』の他の記事を吟味することを主眼とした。
英国に赴いた資料収集においては、当時19世紀前半のスコットランドにおける有力な科学者であった、サー・デイヴィッド・ブルースターの『自然の魔術に関するウォルター・スコット宛の書簡』を見出した。そこでは、1820年代にエディンバラで何度か行われて人気を博した幻灯機の実演と、当時話題になっていた「ブロッケン怪光」とについての解説が示されており、「超自然的」と思われる現象を合理主義的に解釈する作業が、どのように機能していたかを探る上で、きわめて有用である。自然科学が「驚異」の領域を「蓋然性」の枠内へと還元するイデオロギーとして機能していたことを、『アムブローズ館夜話』での新旧価値観の対立表象と絡めて考察することが可能となり、合理主義を体現する「クリスロファー・ノース」ことジョン・ウィルソンがコントロールする『夜話』において、旧価値観を代表する蒙昧として表象されているジェイムズ・ホッグが、その作品でいかにウィルソンの先行作品を巧妙にパロディ化し、また、そこで示される魔術師と奇術師の対立にいかなる意味がこめられているかを理解するうえで、貴重な視点を獲得できた。
本年度はまだ資料の検証に専念したために成果の発表は差し控えた。

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公開日: 2005-04-18   更新日: 2016-04-21  

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