研究概要 |
本年度の研究は[1]文献による理論研究、[2]言語資料の収集と分析、[3]談話における倒置構文のデータベース作成、の三つの方法によって進められた。 [1]文献による理論研究については、倒置構文、分裂文に関する関連性理論、及び認知文法のそれぞれの枠組みにおける先行研究を総括した。関連性理論の観点からは、倒置構文、及び分裂文が談話内で果たす機能と関連性理論との関わりを検討した。とくに、談話における倒置構文と認知効果、及び処理労力との関連性を考慮した。さらに想定から導かれる論理形式と語用論的推論との関係を明らかにし、倒置構文に関する推論メカニズムを検討した。 [2]言語資料の収集と分析については、主に英字新聞(Washington Post, New York Times, Daily Yomiuri)、英文雑誌(National Geographic, New Yorker, Time),日刊紙(朝日新開、読売新聞),和雑誌(アエラ)、及びBrown Corpus, Lund Corpus, LOB Corpus等の電子コーパス(言語資料集)から倒置構文、及び分裂文を含む文章を収集、分析した。 [3]倒置構文、及び分裂文に関わるデータベース作成については、談話における具体的使用例を英字新聞、英文雑誌、日刊紙、和雑誌等々から卓上型複写機を用いて抜粋し、これをパーソナルコンピューターとイメージスキャナーを用い、OCRソフトにより光学的に読み取り、大量のデータを効率的に収集し、大容量ハードディスクに保存した。このようにして収集したデータはデータベースソフトを用いて、関連性理論、及び認知文法のそれぞれとの相互の関連性に基づいて分類・整理し、キーワード検索ができるように処理を施し、データベースを作成した。また、電子コーパスを活用して談話における具体例を収集・分類・整理し、上記のデータベースに加えた。 このようにして得られた成果は学術誌1編、学術図書1編として発表した。
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