研究概要 |
二つのテーマ:1)慈善、2)妊娠・出産・育児、子とのコミュニケーションについて、前年度までの成果を引き継ぎ研究を進めた。慈善に関しては、平成15年度にロンドン大英図書館にて読み進めた手稿資料を使った論文は仕上げが終われば一段落つくと思っており、直接は今までの論文に使わなかった部分も含めてそのときのノートを有効に使うために別の視点から考え直してみたい。母子関係に関しては、まだ研究が始まったばかりという状況である。 研究発表及び論文 主に湯治リゾート・バースでのスペンサー伯爵夫人が担った夫のケアについてカナダで行われた18世紀研究学会(Northeast American Society for Eighteenth-Century Studies, 'The Eighteenth-Century Everyday : Remembrance and Representation' 30 September - 2 October 2005, Fredericton, NB, Canada)にて、スペンサー伯爵夫人の慈善について専修大学で開催された18世紀イギリス文学・文化研究会第6回例会(2005年11月19日)にて発表し、学会・研究会において共に今後の研究のために非常に参考になる意見・質問を受けることができた。どちらの論文も学術雑誌に発表できるよう最後の仕上げを数ヶ月をかけて行っていく。 出産の歴史のなかでも際立った現象である18世紀イギリスの男助産婦(man-midwife)の流行と比較的富裕な層の女性たちの選択に関する考察を中心に、19世紀の医療化を経て、NHSの中での助産師・産科医・GP・保健師の連携で成立している現代の出産ケアにも触れた論文を浜渦辰二編『<ケアの人間学>入門』に発表した。他に、19世紀の日本の女医二人についてDictionary of Medical Biography (Greenwood)に執筆し、出版予定である。
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