研究概要 |
近年,コンピュータ技術の発達などにより,膨大な語数から成るコーパスが容易に利用できるようになった。大規模コーパスの利用により,これまでの手作業による研究では気付かれることのなかった言語事実が多数発掘されるようになってきた。コーパスの利用によって本格的研究が可能となったのは,語と語の結び付きの強度(結合度)をも考慮に入れたコロケーション研究である。例えば,abundantly clear, a whole new wayは自然で,*abundantly hot, *a whole cold dayは自然ではないことは,従来の研究でも明らかにされていたが,コーパスは,語と語の結び付きの強度をMI-scoreやt-scoreなどの客観的な数値で示すことを初めて可能にした。しかし,これらの統計値の利用方法は未だ明らかではなく,どのような統計値をどのように用いることが母語話者の直観を正しく反映することになるのかという問題はほとんど議論されてこなかった。本研究は,コーパスを用いて,現代英語のコロケーション記述を詳細に行い,同時にその結び付きの強度(結合度)の測定方法を検討することを目的としている。 本研究にあたっては,既に購入済みのThe British National Corpusを用いると同時に,The Bank of Englishの利用契約も結び,常時,利用した。また,コーパスから情報を抽出するためのツールに関しても整備を行った。また,これまで自ら収集してきたコロケーションの事例の吟味をまず行い,更なる検討が適当と思われる事例に関してコーパスで調査するという方法を基本的に採用した。特に-ly副詞と形容詞・動詞とのコロケーションに注意を払った。当初は語と語の共起関係に関心をもって研究を始めたが,研究途上で語と構文の共起関係にも注意が向くようになった。そこで本研究の一環として,「SOV構文」や「米語におけるhaven't NP」に頻出する語彙的パターンの同定を試みた。
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