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2003 年度 実績報告書

近代イングランドにおける理想言語論と政治的急進主義思想の文化史的研究

研究課題

研究課題/領域番号 14510518
研究機関大阪大学

研究代表者

小口 一郎  大阪大学, 言語文化部, 助教授 (70205368)

キーワードロマン主義 / 理想言語 / 哲学的言語 / 共和主義 / フランス革命 / 急進主義 / 文学 / 言語論
研究概要

平成15年度は、18世紀後半の政治的急進主義と言語理論という歴史的文脈に、イギリス・ロマン主義が提唱した理想言語論を位置付け、ロマン主義の言語意織を広義の政治的イデオロギーとの関連で解明した。
まず14年度の研究成果に基づき、思考と言語記号とが一致する理想言語が、フランス革命や共和主義思想における一般意志の完全反映という政治的理想と同種の試みであることを、大陸の文法理論とイギリス急進主義の言語観を精査することにより明らかにした。次に急進主義の影響を直接受けたイギリス・ロマン主義前期の理想言語論「哲学的言語」を、大陸系、イギリス系両方の急進主義思想の流れに位置付けた。この結果、急進主義政治思想とロマン主義理想言語論の関連が文献資料のレベルで具体的に実証された。中でも、イギリスの政治活動家であったホーン・トゥックの言語理論とロマン派の言語意識を関係付けたことは、ロマン主義の理念に政治的言説が関与し、ロマン主義がイングランドの急進主義的政治活動と表裏一体を成す思想運動であったことを明確に証明した成果となった。後期のイギリス・ロマン派には精神内面へ沈潜する顕著な傾向が観察され、「哲学的言語」は個人内面の言語意織の中に囲い込まれることになる。しかし、「コクニー派」の文人は、文芸語と日常言語の間にある支配/被支配の政治的関係を暴き出すことにより、ロマン派前期の理想言語思想を引き継ぎつつ、独特の平等主義的な言語観を構築することに成功している。
本研究は、ロマン派の「哲学的言語」の歴史性と政治性を実証し、さらにロマン派後期の言語観をこの思想的文脈の中で再評価した。個別的研究としての成果も大きいが、言語思想や意識を歴史的、政治的に解釈することを目指す今日的な文化史研究の発展に、方法論的に貢献するものとしても有意義である。

  • 研究成果

    (2件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (2件)

  • [文献書誌] Koguchi, Ichiro: "Radicalism in Language : "The Preface to Lyrical Ballads" in Context"Studies in Langauge and Culture. 30号. 51-84 (2004)

  • [文献書誌] 仙葉豊, 服部典之, 小口一郎他共著: "阪大英文学叢書(1)-英米文学における病と身体"英宝杜. 330 (2004)

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公開日: 2005-04-18   更新日: 2016-04-21  

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