文学部出身ではあるが、現在の所属が教育学部という特性を生かして、平成14年度には、「英語学」と「英語教育」という2つの大きな学問領域を土台に研究を押し進めた。前者の成果として"A Computer-Assisted Analysis of Richardson's Pamela as a Founder of Sentimental Novels : Erametsa (1951) Reconsidered"と題する英文による論文を発表した。この論考では、RichardsonのPamelaとPamela以降のsentimental novelに共通して見られる特徴的あるいは頻度の高い語句をコーパス言語学のアプローチから調査している。具体的には、電子テキストをコンコーダンサーのソフトを用いて統計的に分析することによって、sentimentalismの言語を総合的に考察した数少ない研究Erametsa (1951)を、半世紀を隔てた今徹底的に客観的に再考したもので、以前提出した研究計画の内容の重要部を全うしたことになる。 また、この英語学の知見を英語教育にどのように生かしていくか?という課題に挑戦すべく、英語学担当の他の二教官との共著で、「音声学・音韻論に基づいた英語教育内容学の構築に向けて」、「統語論・形態論に基づいた英語教育内容学の構築に向けて」、「社会言語学・語用論・コーパス言語学に基づいた英語教育内容学の構築に向けて(近刊の予定)」の3つの論文を発行し、英語学と英語教育のインターフェイスを試みた。とりわけ社会言語学やコーパス言語学の観点が、いかに英語教育に役立てていけるかという論旨で纏めている。
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