研究概要 |
平成14年度から16年度に至る3年間の科学研究費交付期間内に,18世紀の英国の小説,劇作を資料に,sentimental novelの言語,speechの様式とその演出などのテーマを多面的に吟味・考察していった。例えば,初年度には,sentimentalismの言語を総合的に考察した数少ない研究であるErametsa(1951)を,RichardsonのPamelaを中心とする18世紀の代表的小説の電子テキストを,コンコーダンサーのソフトを用いて統計的に分析することによって,50年の時を経て客観的に再考した。次年度には,日本英文学会中国四国支部第56会大会におけるシンポジウムでの発表を依頼され,「RichardsonのPamelaを語学的に読む:否定表現を中心として」を口頭発表した。このシンポジウムは文学と語学の接点を問いかけるもので、その統一テーマは「文学作品を語学的に読む-さまざまな文体論の立場から-」であり,本研究に直結するものである。さらには,所属が教育学部という特性を生かして「英語学」と「英語教育」という2つの大きな学問領域を土台にした「英語教育内容学」の調査・研究を押し進め,その調査から得たデータを,他の英語学専門の研究者と共著で,数編の論文の形にまとめていった。これにより,今回の課題を単に「英語文献学」や「社会文体論」といった専門の研究に留めるだけではなく,広く大学教育に役立てていくことも図った。
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