本研究課題は、英語史研究により有効な史的コーパスの構築をめざすもので、科学研究費補助金(平成10年度〜12年度)の研究課題「より有効な通時的英語コーパス構築のための基礎的研究」を継続・深化させるものである。 本年度の研究実績 ・「書き言葉における口語的特徴の研究」:後期中英語期から初期近代英語期の史的書簡集の分析をおこなった(The Corpus of Early English Correspondence Samplerを使用)。またその結果をHelsinki Corpusを分析した結果と比較した。調査対象とした言語現象は、1)多重否定構造、2)単純形副詞と-ly形副詞の競合であった。前者については、2003年5月に開催される日本英文学会第75回大会におけるシンポジウムr『英語の否定構文』再考」においてその一部を公表する予定である。また後者についても、2003年度前半には論文の形にまとめる予定である。 ・「日本におけるコンピュータ、コンピュータコーパスを利用した英語史研究史」:本研究課題の副産物として、日本におけるコンピュータ、コンピュータコーパスを利用した英語史研究の歴史について概観する機会を得た。これについては、2002年10月に開催された英語コーパス学会第20回大会シンポジウム「日本における英語コーパス言語学の現状と展望」でその成果を発表した。
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