研究課題
基盤研究(C)
1.主として次の5点において、所期の成果をあげることができた。(1)現代医学の先駆けとしての「ロマン派医学」の成立、成熟、変質の過程を、当時の文学・倫理・哲学・宗教との影響関係という観点から考究した。そのことによって、現代に応用可能なロマン派医学/詩学の意義(技術面よりはむしろ心理面での)をある程度解明することができた。(2)イギリス・ロマン派詩人たちが、当時の科学や医学を体験的かつ批判的に吸収・同化していく過程で生産する、サイコソマティックな作品群-独自の《癒し》のシステム-の再評価を行った。(3)ワーズワスとコールリッジの共同作業の意義と彼らのいわゆる<転向>の原因・背景を、従来とは異なる角度から-自然美に依存する《メランコリーの詩学》の限界という観点から-究明することが可能となった。(4)メランコリア/失意/抑鬱とその克服というテーマ(その代表例がThe Excursion第3、4巻)との関連で、キーツにおけるワーズワスの影響を《癒しの詩学》という角度から照射することができた。(5)心理/精神的《癒し》の手段としての‘Romantic Medicine'の普遍的価値を、ロマン派詩人の実践と経験を通して検証することができた。その一方で、詩人たちの転向の一因ともなった彼ら流儀のロマン派医学/詩学の限界-審美体験への偏向に起因する《癒し》の短命さ-を明らかにすることができた。2.具体的成果としては8編の論文(次ページの項目11を参照されたい)と2回の口頭発表-(1)「イギリス・ロマン派の自然意識」、シンポジウム「緑の思想の系譜-ロマン派の<自然>意識を問い直す」、日本英文学会第75回大会(成蹊大学、平成15年5月24日)、(2)「キーツと大衆・女性・読者」、シンポジウム「イギリス・ロマン派詩人と民衆」、日本英文学会九州支部第57回大会(九州大学、平成16年10月23日)-がある。
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福岡大学人文論叢 (印刷中)
イギリス・ロマン派学会創立30周年記念論文集(日本イギリス・ロマン派学会) (印刷中)
The Bulletin of Central Research Institute Fukuoka University (in press)
Voyages of Conception (in press)
福岡大学人文論叢 35巻4号
ページ: 1711-1730
Fukuoka University Review of Literature & Humanities Vol.35, No.4
イギリス・ロマン派研究(日本イギリス・ロマン派学会) 27号
ページ: 77-86
福岡大学人文論叢 2巻A:9号
ページ: 75-103
福岡大学人文論叢 34巻4号
ページ: 1985-2008
福岡大学人文論叢 35巻3号
ページ: 1099-1119
Essays in English Romanticsm Vol.27
The Bulletin of Central Research Institute Fukuoka University, Series A Vol.2, No.9
Fukuoka University Review of Literature & Humanities Vol.34, No.4
Fukuoka University Review of Literature & Humanities Vol.35, No.3
福岡大学人文論叢 34巻3号
ページ: 1441-1462
Fukuoka University Review of Literature & Humanities Vol.34, No.3