研究概要 |
本研究の目的は、Chomsky理論と競合する言語理論の中でも有望なもののひとつで、英国の言語学者Richard Hudsonが提唱するWord Grammar理論の全貌を明らかにし、併せて、競合する他の言語理論と、理論的枠組みを比較考察することにより、この理論の特長および弱点を現代英語の統語構造、意味構造の分析を通して明らかにすることである。今年度予定していた研究計画に従い、これをほぼ予定通り遂行し、以下のような実績を上げた。 1.Word Grammar理論の公刊・未公刊の文献収集のため、2002年7月20日から8月26日までドイツ、英国へ出張した。英国ではUniversity College London図書館、言語学・音声学教室で文献を収集した。 2.ドイツではPotsdam大学で、競合する言語理論の公刊・未公刊の文献、とくにヨーロッパで発表されたものを集めた。 3.2002年7月22日から25日までドイツのPotsdam大学で開かれたヨーロッパ言語学会(Societas Linguistica Europaea)で、蓄積してきた過去の研究成果の一部を口頭発表した。発表の詳細は次ページ、研究発表の欄に記してある。英語の他動詞の目的語の省略の可能性について、語彙意味論とWord Grammarの分析を比較しながら考察し、自分の立場を明らかにした。学会後、英国へ渡り、8月26日まで、海外共同研究者のHudson, Rosta, Gisborneの各氏とLondon大学にて共同研究、workshopを行った。私は主に英語の'be+to infinitive'構文の構造、上述の英語の他動詞の目的語の省略の可能性についてWord Grammarの枠組みで研究した。この研究成果の一部も次ページの研究発表の欄に記入してある。
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