研究概要 |
本研究の目的は、Chomsky理論と競合する言語理論の中でも有望なもののひとつで、英国の言語学者Richard Hudsonが提唱するWord Grammar理論の全貌を明らかにし、併論の特長および弱点を現代英語の統語構造、意味構造の分析を通して明らかにするとである。2003年6月25-26日に韓国で開催されたThe 2003 Korean Association for the Study of English Language and Linguistics(KASELL)国際大会で論文発表を行う予定であったが、SARSの影響で参加を取りやめた。それを除けば、今年度予定していた研究計画に従い、これをほぼ予定通り遂行し、以下のような実績を上げた。 1.Word Grammar理論についてのworkshop参加、公刊・未公刊の文献収集、研究成果発表のため、2003年7月31日から9月1日まで英国、ポーランドへ出張した。英国では、University College London言語学教室で海外共同研究者のHudson教授が主宰するWord Grammarのworkshopに毎週参加し、Andrew Rosta, Nik Gisborneの各氏と討論などを行った。また、同大学図書館、言語学・音声学教室で関連する文献を収集した。 2. workshopでは、私はもっぱらWarsawで発表する日本語の名詞句内の語順について発表し、参加者から助言を求めた。この研究成果の一部は次ページの研究発表の欄に記入してある。 3.2003年8月27日から31日までポーランドのWarsaw大学で開かれたヨーロッパ日本研究協会(European Association for Japanese Studies)第10回国際会議の言語学・日本語学部門で、研究成果の一部を口頭発表した。発表の詳細は次ページ、研究発表の欄に記してある。日本語の「この赤い花」は、なぜ「赤い花」という語順も可能であるのかという問題について、英語の限定詞と比較しながらWord Grammarによる独自の説明を行った。学会に参加していた研究者からの反応も大きく活発で有意義な討論が行われた。
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