研究課題/領域番号 |
14510535
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研究機関 | 神戸市看護大学 |
研究代表者 |
山根木 加名子 神戸市看護大学, 看護学部, 教授 (90295767)
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研究分担者 |
劔持 淑 岡山大学, 文学部, 助教授 (20178164)
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キーワード | エリザベス・ボウエン / ビッグハウス / カントリーハウス / ジェイン・オースティン / ヴァージニア・ウルフ / E.M.フォースター / ヘンリー・ジェイムズ / マライア・エッジワース |
研究概要 |
本研究の目的はエリザベス・ボウエンの特徴であるビッグハウス文学・文化が、ヴァージニア・ウルフ、ヘンリー・ジェイムズ、E.M.フォースター、ジェイン・オーステイン、マライア・エッジワースの文学とどのように影響し合っているかを解明して、ボウエン批評及びウルフ、フォースター研究に新しい視座を与えることである。今年度は主にカントリー・ハウスの観点から研究を進め、これに新たなテーマによる考察を加味していく予定であったが、カントリー・ハウスに関わる研究を深めることが主体となった。以下、その詳細である。 研究代表者・分担者各々が、担当する作家・作品について個々の研究を深化させ、その成果を学会発表や学術論文として公表した。また両者の打ち合わせや、国内の研究機閑において、資料の調査・収集を行った。まず研究代表者は論文で、オーステインの「マンスフィールド・パーク」を対象に、家父長的ジェントリー文化の象徴であるカントリー・ハウスが女性の手により変革していくさまを論じた。またボウエンの短編小説を中心に、作者が描く精神的やまいとはいかなるものか、ビッグハウスとどう関わるかを、精神分析学とビッグハウス文化の観点から論じた。さらに日本英文学会中国四国支部大会では、「Castle RackrentとEmmaにみるカントリー・ハウス文化の実相」と題して、共同体のシンボルであるカントリー・ハウスを通して、両作品がどのような共同体の特質、価値体系を提示するかについて発表した。研究分担者は、ジェイムズのカントリー・ハウス観について、『ある婦人の肖像』を用いて、オランダ屋敷の運命とガーデンコート館の運命に、主人公イザベルの人生を関連づけて考察した論文を発表した。フォースターのカントリー・ハウス観については、著書の中で、『いと長き旅路』を用いて土地の持つ力と因習との関連について言及し、さらに『ハワーズ・エンド』を用いてイギリスの伝統的な田園に共感を示し、伝統的な叡智を受け継ぐ者がカントリー・ハウスを相続する者として選ばれていく過程を論じた。
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