本研究は新時代に相応しい「英語圏児童文学史」を再構築するために、カナダ・オーストラリア児童文学を比較対照し、新たな『英語圏児童文学史』を出版する前段階までの研究成果をまとめるものである。 15年度の研究計画はカナダ・オーストラリア児童文学関係資料の収集、ならびに両研究者によるオーストラリア研究機関への研究出張等であったが、計画・目標は達成された。両研究者はオーストラリア・ヴィクトリア州立図書館とモナッシュ大学図書館で資料収集を行い、モナッシュ大学の児童文学研究者Dr Heather Scutterを訪ね、最近の研究動向について情報を得、意見交換をした。また、シドニーではオーストラリア児童文学研究の第一人者Dr Maurice Saxbyを訪ねて、研究上の課題を確認できたことは有意義であった。 成果として、両研究者の編著による『はじめて学ぶ英米児童文学史』(ミネルヴァ書房、2004)を上梓できたことは大きな喜びである。これは、新たな英語圏児童文学史の前段階の成果であるが、少なくとも英米児童文学史の中に、カナダ・オーストラリア児童文学史を英米と同等に扱うことができたのは、大きな成果だと認識している。
|