研究課題
基盤研究(C)
従来周辺文学とみなされていたが、近年目覚ましい発展を遂げているカナダ・オーストラリア児童文学に市民権を与え、グローバル化の新時代に相応しい「英語圏児童文学史」を再構築し、新たな『英語圏児童文学史』を出版するために、カナダ・オーストラリア児童文学の基礎的研究を行うことが本研究の目的であった。大きな成果としては、両研究者編著による『はじめて学ぶ英米児童文学史』(2004年、ミネルヴァ書房刊)を上梓し、本研究で得た知見を盛り込んだカナダ・オーストラリア児童文学史を「英米」と並べながら、それぞれ独立した文学史として扱ったことである。その意図は書評「『英米』から『英語圏』児童文学へ…」(『英語教育』2004年5月号)に高く評価され、『週刊読書人』の書評(2004/2/13)でも言及された。この本に収めたカナダ・オーストラリア・ニュージーランド児童文学年表も画期的な成果である。その他の成果は以下の通りである。「現代カナダ児童文学-停滞からの脱却-」(桂、2004)、「カナダ絵本データベース構築に向けて」(桂、2005)、両国児童文学史研究に欠かせない19世紀英米児童文学を扱った『英米児童文学の黄金時代』(桂他編著、2005)、「英米絵本の発展-印刷技術の視点から-」(桂、2006)、19世紀のフェアリー・テイル・ブームの火付け役の一人で、オーストラリアのアボリジニ文化研究者でもあったA.ラングに関する論考「フェアリー・テイルと人類学の接点」(牟田、2005)と国際学会発表"Natsume Soseki and Andrew Lang : their Interpretations of the Supernatural"(牟田、2004)および、そのプロシーディングス掲載の審査論文(牟田、2004)である。また、本研究期間中の知見の一つは、近年オーストラリア児童文学とニュージーランド児童文学の範囲が重複する現象が起きており、ニュージーランド児童文学研究も並列に行わなければならないということであった。この成果は『たのしく読める英米絵本』(桂編著、ミネルヴァ書房、印刷中)に収められる。この中で桂はカナダの絵本を、牟田はオーストラリア・ニュージーランドの絵本について紹介している。
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語学センター研究紀要(岡山県立大学) 4
ページ: 21-34
たのしく読める英米絵本(桂宥子編著)(ミネルヴァ書房) (所収)(印刷中)
たのしく読める英米絵本(桂宥子編著) (所収)(印刷中)
Research Journal of the Language Center, Okayama Prefectural University vol.3
Tanoshiku Yomeru Eibei Ehon (A Guide to English-American Picture Books)(Minerva Shobo) 2006 (in press)
Tanoshiku Yomeru Eibei Ehon (A Guide to English-American Picture Books)(Minerva Shobo) (in press)
語学センター研究紀要(岡山県立大学) 3
ページ: 1-19
英米児童文学の黄金時代(桂宥子他編著) (所収)
ページ: 112-127
Toward the Construction of a Database of Canadian Picture Books(Research Journal of the Language Center, Okayama Prefectural University) vol.3
Eibei Jido Bungaku no Ogon Jidai (The Golden Age of English-American Children's Literature) (Published)
語学センター研究紀要(岡山県立大学) 2
ページ: 35-40
Proceedings of the 04th Biennial Bonference of the Asian Studies Association of Australia in Banberra, 2, 2
ページ: 1-17
Research Journal of the Language Center, Okayama Prefectural University vol.2
Proceedings of the 15th Biennial Conference of the Asian Studies Association of Australia in Canberra, 2004