1.先行研究に関する文献目録を出版した。これは移動動詞に関する、現在出版されているもっとも網羅的な目録である。 2.本研究の出発点となっているLeonard Talmyによる移動表現の類型論に関して、それをめぐる問題点を指摘し、新たな提案を行った。それは、以下の三点にまとめられる。(1)Talmyの類型論は、学者によって三通りの異なる解釈が行われている。(2)その三つの解釈は、実際には異なる現象に注目したもので、それによる言語の分類は一致しない。(3)Talmyの類型論は、文の主要部に移動のどの意味要素が表現されるかという立場から解釈されるべきである。そのためには、用語と一部の概念の変更が必要となる。 3.コウビルド・コーパス、新潮文庫の100冊、毎日新聞テキストデータベースの三つのコーパスから、移動動詞の用法を収集した。また、日本語によるfrog storyの録音を行った。これらの資料の分析は次年度に行われる。
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