平成14年後半以降3年間にわたり風呂本の個人研究に与えられた助成金により個人の海外出張や資料収集の成果を共有したい気持ちから、名古屋(愛知地区)の仲間と研究会を組織した。幸い20名ほどの賛同者を得て、1〜2月に一回の割合で定期的に集まり、研究発表、海外情報交換、日本で出た新刊書の書評・紹介・解説などを行ってきた。毎回の参加者は10数名を数え、ニューズレターを定期的に出すことで欠席者にも研究会の進捗状況を知らせることにしている。成果報告書にもあげたようにニュースはすでに30回ほどになっている。 会員はそれぞれ個別の研究テーマを持つことと新しい出版物の紹介を担当することになっている。これにより会員のテーマの自覚的追求が高まり、アイルランド女性詩人、アイルランド女性劇作家、アイルランド食文化など従来の多くの研究テーマからの脱皮の兆しが現れている。 すでに中部英文学会、日本イェイツ協会、日本アイルランド協会、IASIL(国際アイルランド文学協会)などで報告、シンポジウム参加、などを行い当該学会の機関誌や共同執筆の書物の形で世に問うまでになった。 風呂本は毎年(1回)海外の学会参加や資料収集で得た知識や資料を会員配布して国際交流の魅力を伝える努力をしている。風呂本個人の研究成果は成果報告書記載の通り論文・講演10点に上る。また研究会の成果としては 1)個人テーマはそれぞれ会員が一冊の研究書に仕上げるべく努力中である 2)日本におけるアイルランド文化の書物の書評・紹介・解題などはさしあたり2000年まで分についてもう少し欠落部を補い、『日本におけるアイルランド研究便覧』(仮題)のような形で世に問うべく準備中である。これは急速に進むこの分野の出版物に一つの目安をつけ、重複や無批判な受容について、これからの研究に参考資料を提供する目的である。
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