研究課題/領域番号 |
14510549
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研究機関 | 東海学園大学 |
研究代表者 |
倉橋 洋子 東海学園大学, 経営学部, 教授 (10082372)
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研究分担者 |
薬師川 虹一 東海学園大学, 経営学部, 教授 (90278408)
大場 厚志 東海学園大学, 人文学部, 助教授 (00194275)
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キーワード | 社会階級 / 行動規範 / ジェンダーロール / 視座 / 逸脱 / 父権制 / 女性支配 / 男女の階層秩序 |
研究概要 |
19世紀の英米文学作品にみられる社会的・倫理的行動規範を研究した。 倉橋はナサニエル・ホーソーンとケイト・ショパンの作品にみられる女性の行動規範について研究した。ホーソーンの作品から、19世紀のニューイングランドの女性が知性、雄弁、指導力を発揮し、男性の領域の仕事を侵すことは、どの階級においても杜会的行動規範から逸脱していることを検証した。ショパンの作品から、南北戦争後の南部での離婚や中流階級以上の女性の仕事に対する偏見が存在し、「立派な」振る舞いという倫理規範が上流階級の女性を抑圧しているという見解に達した。 大場はホーソーンの男性主人公たちをとりあげ、敵対者との対比、父親的人物の影響力、女性との関係から、彼らは、19世紀の行動規範から判断すると脆弱で、男らしさに欠け、ジェンダーロールを果たすことができないものの、父権制イデオロギーのもとで女性の支配・虐待に荷担していることを検証した。このような男らしさの欠如と女性支配が示しているのは、父権制と男女の階層秩序において男性の立場も困難を伴うという結論に達した。 薬師川は19世紀のイギリス詩人の視座と社会的階層とを研究した。詩人にはそれぞれ、発言の場所、あるいは視座というものがあり、ワーズワース、街頭詩人、ヒーニーはそれぞれ疑似中央視座、漂流する視座、辺境の視座を持ち、これらの状況はそれぞれの詩人の社会的階層と重なることが検証された。
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