ハワイの地に西洋と東洋の伝統的な劇の影響を受けて19世紀から21世紀にかけて誕生し発展したハワイ・ローカル演劇の関する資料やスクリプトを、主にハワイ大学ハミルトン図書館、クム・カフア劇場、ホノルル・シアター・フォー・ユースにおけるリサーチと劇作家・演出家の協力により収集し、彼らへのインタビューも参考として、国内外において論文を口頭発表し、また出版した。 本研究は、ハワイが西洋文化に浸食される中でハワイ王朝の史劇を壮大な自然を背景に野外で上演されることでハワイのペジェントの伝統が確立し、19世紀に始まるプランターションの勃興と繁栄により中国、日本、フィリピン、韓国などのアジアの国々からの移民によってもたらされた母国の独自の伝統的な演劇が紹介され融合する過程を経て、ハワイのアメリカ併合とそれに続くアメリカ教育の導入と様々なレベルのアメリカ化により、英語という共通言語と英米劇というジャンルによる影響下のもとにハワイ独自のピジン英語という共通言語に基づいたローカル劇が誕生するという歴史的な軌跡を追う同時に、現在進行するローカル劇の作品を追うことが必要とされた。 研究の成果は、ハワイ大学におけるBamboo Ridge Instituteに二度出席し、ローカル作家や批評家とパネルに参加したことにより、その後の研究が発展した。特にハワイ・ローカル文学の系統をアメリカで最初に立てた日系三世の批評家で全米のアメリカ学会会長も務めたこともあるStephen Sumidaとパネルで議論ができたことは大きな刺激となった。また、ハワイのローカル劇というマイナーな今野にも関わらず、その出版論文の多くが、MLA等の国際学会での口頭発表の機会を得た。
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