研究概要 |
英語の共時的研究指導にコーパスをいかに利用できるかを検討し、授業実践を行いながら、その成果を英語コーパス学会第20回大会シンポジウム「コーパスを利用した英語教育と英語・英文学研究指導-実践報告と今後の可能性-」において、「コーパスを現代英語研究の共時的研究指導に生かす」と題して口頭発表し、論文にまとめた。そのなかでは、これまでほとんど行われていなかったコーパスを利用した音声・音韻指導の実践例を紹介した。音声版と韻律特性表示版を含むLancaster/IBM Spoken English Corpus(SEC)を使用して、強勢移動(stress shift)や韻律移動(rhythmic shift)と呼ばれる、語強勢の位置が文全体のリズムとの関係で移動したり弱化する現象の規則性を、学生に発見させた。また、アメリカ英語とイギリス英語の綴り字の相違とその30年間の変化について、Brown, LOB, Frown, FLOBコーパスを用いて、学生に用例を検索させて、用例から何が言えるかを考察させた。語法やディスコース研究指導例にも触れた。コーパスを利用すれば、単に知識提供だけでなく、学生自らが調べて考える、いわゆる発見学習ができることを示した。 また、特殊目的のための英語教育(ESP)へのコーパス利用の可能性について、大学英語教育学会サマーセミナー(テーマ:New Perspectives on ESP)において講師として発表し、内容を冊子とプロシーディングズにまとめた。 さらに、References to the Presenter in Academic Papersと題して、国際応用言語学会2002年大会(AILA2002,於シンガポール)で口頭発表を行った。その中では、論文を書く際に著者自身の示し方、いわゆるeditorial weの使用傾向について、独自のコーパスを作成して調査した結果を考察し発表した。
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