1.研究は順調に進んでいる。研究テーマが現代のグローバルな文化状況の動勢と深く結びついているゆえ、昨今の世界情勢の動きもヴィヴィッドに研究に投影されてくる。 2.今年度は、シュルレアリスムとメキシコとの関連、および、その前史たる20世紀の造形表現、詩言語表現の刷新とプリミティヴ・アートとの関連を中心に研究を行なった。将来、図書として刊行する原稿の執筆も進んでいる。 3.研究を進めてゆく中で確認したのは、シュルレアリスムの流れの中から生まれたレリス、バタイユらのシュルレアリスム民族誌学の重要性である。これについては、それを現代文化の動きの軸のひとつと捉えたアメリカの文化人類学者クリフォードの研究も邦訳された。 4.外国出張として、メキシコにて、(1)シュルレアリスムのメキシコ多元文化形成への影響について、および(2)シュルレアリスムの影響のもと、ヨーロッパの思想・文化とメキシコ性を融合させて独自の世界をつくり上げたメキシコの詩人・思想家オクタビオ・パスについて、資料収集と、メキシコの作家、批評家、研究者に対するインタビューを行ない、大きな成果を得た。 5.上記に関し、調査報告を「メキシコ出張報告記」としてまとめ、研究科研究誌『国際広報メディア・ジャーナル』(創刊号、平成15年4月下旬刊行予定)に発表した。
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