1.昨年度に行なったシュルレアリスムとメキシコとの関連についての研究に続き、今年度は、カリブ海とりわけフランス領マルチニックでのシュルレアリスムの新たな展開、およびシュルレアリスムなどの影響のもとに展開したブラジル・モダニズムについて研究を行なった。平行して、将来、図書として刊行する原稿の執筆も進めた。 2.上記の研究調査のため、マルチニックとブラジルに外国出張を行ない、(1)シュルレアリスムの影響のもとに、ネグリチュードというコンセプトを創出して現在のクレオール思想の源流となった詩人・政治家エメ・セゼールについて、および、(2)モダニズム、シュルレアリスムとブラジルの先住民文化を独自に融合させたオズワルド・ジ・アンドラージについて、資料収集と、作家、批評家、研究者に対するインタビューを行ない、大きな成果を得た。特にマルチニックではエメ・セゼール本人に会見し貴重な発言を得た。 3.上記に関し、調査報告を「仏領海外県マルチニック&ブラジル出張報告記」としてまとめ、研究科研究誌『国際広報メディア・ジャーナル』2号(平成16年3月下旬刊行予定)に発表した。 4.昨年のメキシコ出張で得た知見をもとに、公開講座の一プログラムとして講義を行ない、それを「メキシコ-スペインの植民地から文化の混血へ」として論文にまとめて、「植民・移民・難民のメディア学』(『国際広報メディア研究科・言語文化部研究報告叢書』55号、平成16年3月下旬刊行予定)に発表した。 5.予算については、一通り順調に消化した。外国出張旅費については全体額の40%が上限ゆえ予算をオーバーせざるを得なかった。
|