• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2003 年度 実績報告書

プルーストと絵画に関する表象と文体の総合的研究

研究課題

研究課題/領域番号 14510571
研究機関東京都立大学

研究代表者

吉川 一義  東京都立大学, 人文学部, 教授 (30119870)

キーワードプルースト / 絵画 / 表象 / 文体
研究概要

本研究の目的は、対象を『失われた時を求めて』に現れた絵画作品の描きかた(表象と文体)にしぼり、その成立の経緯と結果を総合的に分析することにより、プルースト研究に新たな貢献をすることにあった。平成15年度は、前年度にひきつづき、プルーストと絵画に関する資料、諸研究を見直し、架空画家エルスチールに関する情報を補うとともに、同時代の新たな絵画資料を収集した。またフランス国立図書館が所蔵するプルースト資料のマイクロフィルムを購入する道が拓けたので、とりあえず最も重要な草稿帳75冊と清書帳20冊のマイクロフィルムを購入し、作家が作中で絵画をどのように表象したかについて、具体的な調査研究を進めることができた。さらに草稿資料の専門研究者であるナタリー・モーリアック(CNRS)を日本に招き、同資料およびプルーストと絵画について助言を仰ぐとともに、本課題について共同で研究する機会をえた。
以上の調査研究により、小説中の実在画面と架空画面では、その表象のありかたに大きな差異のあること、個別画家(モネ)の画でも、それが小説中の描写に使われると作家独自の比喩による変貌を施されていること(論文「時間を視覚化したモネとプルースト」)、絵画の表象には芸術上の偶像崇拝の問題が深くかかわっていること(研究発表「プルーストにおける偶像崇拝」)、作中の架空画面を描写する文体に理論と実践の矛盾があること(研究発表「エルスチールの海洋画におけるヴィジョンと文体」)などの新たな知見をえた。本年の研究成果は、上記論文や口頭発表のほか、フランスで出版されるDictionnaire Proust(Champion,2004)の43項目執筆にも活かすことができた。
研究課題のうち文体の問題は充分に究めることができなかったので今後の課題とし、プルーストと絵画をめぐる総合的著作のなかでまとめたい。

  • 研究成果

    (5件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (5件)

  • [文献書誌] 吉川 一義: "時間を視覚化したモネとプルースト"コレクションにみるベルエポック. 72-75 (2003)

  • [文献書誌] 吉川 一義: "フランスの作家と絵画"フランスを知る. 70-79 (2003)

  • [文献書誌] 吉川 一義: "ジャポニスムと世紀末の作家"フランスを知る. 280-284 (2003)

  • [文献書誌] Kazuyoshi YOSHIKAWA: "Proust and Painters"Approaches to Teaching Proust. 50-55 (2003)

  • [文献書誌] 吉川 一義: "プルーストの世界を読む"岩波書店. 208 (2004)

URL: 

公開日: 2005-04-18   更新日: 2016-04-21  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi