研究課題
基盤研究(C)
本研究は、平成11〜13年度の科学研究費補助金交付研究「ドイツ産業革命以降の生活改革運動とその文化的影響に関する総合的研究」をさらに発展させたものである。以前の研究は19世紀後半に始まったドイツにおける様々な生活改革運動、特に田園都市建設運動の歴史に関するものであった。これらの生活改革運動は急激に進行した産業革命によって生じた社会の歪みを是正する総括的な試みで、近代化の過程で起こったものであるが、その理念の源流は実はプラトン以来の伝統的なユートピア思想にある。従って本研究においてはドイツにおける社会改革思想・ユートピア思想の歴史を遡り、そこからモダニズムの生活改革運動に至るまでの系譜を辿りつつそのドイツの思想史的特徴についての考察を試みた。具体的な研究対象としては、農奴解放運動に影響を与えた「ズィギスムントの改革」に代表されるような「改革文書」、そしてドイツ語圏において16・17世紀に成立した二編のユートピア文学を取り扱った。特にカスパール・シュティブリンの『エウダイモン国見聞記』は、ドイツ文学史上最初のユートピア文学でありながら長く忘却されており、日本において取り上げるのは本研究が最初となる。J.V.アンドレーエの『クリスティアノポリス』に関しては、作品成立の時代背景を扱う研究はこれまで日本では行われなかった。が、両作品共に宗教改革と密接な関わりを持っており、単にユートピア文学として鑑賞するのみならず、生活改革思想として捉え、その歴史的背景や思想的特徴を考慮する知識社会学的な検討が必要であった。同時に田園都市建設運動の歴史の記述と検討も続けて行い、この対象に関しても二編の論文を発表している。
すべて 2005 2004 2003
すべて 雑誌論文 (8件)
小樽商科大学「人文研究」 第109輯
ページ: 17-48
The Review of Liberal Arts, Otaru University of Commerce No.109
小樽商科大学「人文研究」 第107輯
ページ: 57-81
The Review of Liberal Arts, Otaru University of Commerce No.107
小樽商科大学「人文研究」 第105輯
ページ: 123-155
小樽商科大学「人文研究」 第106輯
ページ: 83-111
The Review of Liberal Arts, Otaru University of Commerce No.105
The Review of Liberal Arts, Otaru University of Commerce No.106