研究課題
平成16年度もまた14年度、15年度に引き続き、本研究の中心テーマである伝達能力のうちポライトネス及びクリティカル・ディスコース・アナリシスに焦点を定めて研究を進めた。9月まではヨーロッパにおけるポライトネス研究を概観し、それに対応する日本におけるポライトネス研究とを比較対照した。その結果、日本のポライトネス研究の第一人者である宇佐美まゆみの「ディスコース・ポライトネス」を批判することになった。その研究成果の一部を、報告書にまとめた。9月以降は、他の研究者と共に「外国籍住民に敬語は必要か」、あるいは「日本における地方自治体は、外国籍住民の言語行動をサポートする上でどんな取り組みを行っているか」といった、本研究の枠組における日本の現状に関する実態調査の分析を行った。これらは直接的には日独対照の研究ではないが、今後ドイツにおける言語行動のあり方を捉え、日本社会での実態と比較対照する上での基礎データになると思われる。また、これらの研究をまとめたものとして、平成16年12月18日には学習院大学における「社会と行為から見たドイツ語」という研究会において「日本とドイツにおけるポライトネス研究」という題目の発表を行った。これは、本研究「言語行動と伝達能力に関する日独対照社会言語学的考察」の研究成果の口頭発表といえるものであり、その後、ドイツ人研究者とドイツ語教育、とりわけドイツ語の教科書の問題について情報交換をした。さらにクリティカル・ディスコース・アナリシスとの関連で『共生の時代に』(仮題)という論文集を作成するため、この問題に関心をもつ研究者とも議論を重ねてきた。本研究の成果の一部は、言語文化共同研究プロジェクト2004などでも発表する。
すべて 2005 2004
すべて 雑誌論文 (4件)
Sociolinguisties / Soziolinguistik, An International Handbook of the Science of Language and Society (Ammon, U./ Dittmar, N./ Mattheier, K.J./ Trudgil P.(Hrsgs.))
ページ: 165-171
共生の時代に (印刷中)(仮題)
解放のための社会学 (印刷中)(仮題)
言語文化共同研究プロジェクト2003
ページ: 49-60