研究発表の欄に記載した論文3編を執筆した。 「ナチス・イデオロギーの多元性-ナショナリズムとジェンダー配置の考察-」ではナチスの二大イデオローグであるアルフレート・ローゼンベルクとアルフレート・ボイムラーにおける男性同盟賛美と女性蔑視の傾向を論じた。 「『女性的なるもの』の位相-母権制と反ユダヤ主義に関する試論-」ではバッハオーフェンの母権論に対するボイムラーとルートヴィヒ・クラーゲスの解釈の対比し、両者の反ユダヤ主義が「女性的なもの」とどのように切り結んでいるかを考察した。加えてボイムラーのバッハオーフェン解釈に対するトーマス・マンの批判の妥当性に関しても言及した。 「男性同盟とホモソーシャリティ-同性愛と政治のディスクルス-」ではセジウィックの「ホモソーシャリティの理論」を援用して、オットー・ヴィニンガー、ローゼンベルク、ボイムラー、ハンス・ブリューアーの男性同盟イデオロギーを分析した。なおこの原稿は、2002年度秋季日本独文学会で研究代表者が企画・司会を担当したシンポジウム「青年運動と文学」における口頭発表に加筆・修正を加えたもので2003年5月発行予定の「日本独文学会研究叢書」の第20巻に所収される。
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