研究報告 課題研究の2年目に当たる本年度の研究成果は、主として以下の3点である。 1.初年度に続き、ホフマン文学・グリム童話・エンデ文学に関する書籍・ビデオによる資料を収集した。 2.奈良教育大に出向き竹原研究室で、グリム童話ならびに日本昔話に関する資料と情報を収集した。 3.「グリム童話におけるファンタジー」に関して3本の論文、フロイトの精神分析に関する論文1本、グリム童話の翻訳(4編)を発表した。加えて、日本独文学会秋季研究発表会(東北大学)において1つの口頭発表を行なった。 本年度の主要課題の1つは、グリム童話『兄さんと妹』と『太鼓たたき』に関する資料を収集・読解・分析することであった。前者に関しては、すでに論文として発表した。後者に関しては、2003年度の日本独文学会秋季研究発表会日本独文学会(東北大学)で口頭発表したが、これをドイツ語の論文として、今年度の『ヘルダー研究』(第10号)に掲載予定である。同時に、『死神の名付け親』に関しては、「炎の象徴学」と題して、今年度の「人文学科論集」(前期号)に発表する予定である。 もう1つの主要課題は、「ホフマン文学におけるファンタジー」に基づいて「エンデ文学におけるファンタジー」に関する考察を進めることであった。とりわけ、エンデの『モモ』を取り上げ、その「時間」のテーマに関する分析に取り組むことであった。ファンタジーの概念規定に関しては、おおよそ論文としての構想が固まったので、2004年度の日本独文学会秋季研究発表会(北大)で発表する予定である。同時に、エンデの『モモ』における「時間論」についても構想が固まりつつあるので、2005年度の秋季研究発表会(京大)で発表する予定である。従って、細部の詰めは未だ残されているが、本年度の課題は概ね果たされたと言える。
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