1)平成16年9月2日から4日までアーヘン工科大学文学部で開催されたシンポジウムにおいて、二つの講演"Die Entwicklung des japanischen Schriftsystems"と"Die Rezeptionausserchinesischer Schriftsysteme im Japanischen"を行った。この講演の枠組みのなかで、特に文字の伝承と新しい文字の成立に関連して、本研究の方法論的成果を十分に活用した。また、ゲーテが文字に関して記述している、これまであまり考察されてこなかった領域についても、このシンポジウムのテーマの枠組みのなかで紹介し分析した。 2)"Immermann-Jahrbuch"に"Autobiographische Erfahrungen im Werk des Magdeburger Autors Carl Leberecht Immermann"を発表し、そのなかでゲーテにおける自伝概念を批判的に検討した。 3)学燈社刊行『國文學』創刊50周年記念号『森鴎外の問題系』に、論文「森鴎外と演劇」を発表し、日本の演劇の近代化に果たしたゲーテ受容に言及しながら、ドイツにおけるゲーテの規範化の問題にも触れた。ドイツ演劇における形式の形成に関するゲーテの発言は、現代再びアクチュアルな問題になっている点にも言及した。 4)さらに、明治大学図書館刊行の機関誌『図書の譜』に、雑誌ユーゲントに関する論文を発表し、同雑誌におけるゲーテ受容の特質について分析した。現在、雑誌ジンプリチスムスにおけるゲーテの表象についても分析を進めている。 5)ニーチェにおけるゲーテ受容の変遷について、大学院の授業で集中的に取り上げた。ニーチェにおけるカノンの意味、形式の継承の意味を探る上で、ゲーテが重要な位置にあることが明かとなり、現在その成果の公表を準備中である。
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